英語上達12のポイント(門田修平著・コスモピア)

本書のタイトルから、「英語上達のコツを教えてくれる本」と思う人もいるでしょう。間違いではありませんが、いわゆる「勉強法の本」とは一味違います。著者の門田先生は第二言語習得理論の専門家ですから、何をどうすれば身について、どうすると身につきにくいかを研究成果から説き起こしてくれます。たとえば「英語脳」や「英語耳」は存在しない、「聞き流すだけ」では身につかない等、巷にあふれる、つい飛びつきたくなるような安易な期待は本書であっさり粉砕されています。

取り上げられている12のポイントは、「大量インプット」「シャドーイング」「英語能力の自動化」など、ひとつひとつは当たり前の学習法です。本書の価値は、それらひとつひとつに第二言語習得理論で裏打ちされた解説があることです。当たり前のことをただ機械的にこなすのではなく、なぜそのような手順を踏んで学習するのかが理解できれば、たとえばシャドーイングひとつとってもきちんと効果が出るやり方を意識してできるようになることでしょう。

「英語の先生に相談すると、同じような勉強法をすすめられるけどなぜ?」「どうして音読すると良いのか?」等々、英語の学習法について疑問を感じている人、そしてもちろん第二言語習得に興味のある人におすすめします