世界とつながる

解説

 スタンダード4が述べているのは、他者と共生する能力のことである。同じ文化に属するものどうしでさえ、他人は考えや、感じ方、行動パターンの点で自分とは異なり、その意味で理解しがたい存在である。これまで多くの共同体や社会は、他者を慣習や法制度によってできるだけ均一的な存在へと同化しようとしてきた。しかし、いまや求められるのは同化ではなく、歴史的にも文化的にも自分たちとは大きく異なる「多様な他者たち」との共存・共生である。

 他者との実り豊かな共生のためには、自分たちの国の歴史や文化はもちろん、自らを育んできた郷土に対する知識と自覚が必要である。他者との実際の共生は、普遍的なコスモポリタン同士の関係ではありえない。世界の中における自分たちの「特殊性」を自覚することこそ、「他者の異質性」と共に生きるための前提となる。

 しかしまた、他者との「共生の作法」を身につけることは、たんなる心構えの問題ではない。国際関係に対する理解や、個人と国家・民族・宗教などとの入り組んだ関係に対する認識も必要となる。法の下での平等、性別や障害や人種などから生ずるあらゆる偏見・差別の撤廃、いかなる個人にも保障されるべき人権、様々な形態での移民の受け入れや難民に対する保護など、互いの存在の根源性を受け入れながら他者とつながるためには、どの国も今後、数多くのハードルを超えていかなければならない。

 スタンダード4は、自分たちの文化を自覚し、他者との文化的差異を率直に認めながら、徹底して寛容な態度で積極的に「他者の異質性」と交わっていこうとする意欲を、学士レベルの到達度において、学生がもつようになることを意味する。

具体的な科目構成

  • 地域社会と文化人類学
  • 日本史・日本文化
  • 異文化間コミュニケーション
  • 異文化体験
  • 国際社会とボランティア
  • グローバル時代の国際協力

各科目で使用するテキスト(学内者限定)と科目の説明は以下のURLから閲覧してください。

http://ilas.w3.kanazawa-u.ac.jp/students/subject/gs-2/gs_text/#standard4