聖書でたどる英語の歴史(寺澤盾著 大修館書店)
今回は「英語」ではなく「英語史」の本を紹介します。「聖書」「英語史」と並べると見るからに堅そうですが、オバマ大統領の演説からドラマの台詞に至るまで、聖書の引用はいつどこで飛び出してきても不思議ではないくらい、英米の文化に根を下ろしていますから、聖書を知ることが英米文化に対する深い理解につながります。
異なる時代に英語に翻訳された聖書を眺めると、同じ内容の原典をそれぞれの時代の英語で表現していますから、英語に起こった変化がよくわかります。本書は過去にとどまらず、現代の英語で書かれた聖書についてもページを割いています。マイノリティへの配慮、基本語彙だけで書かれた聖書など、現代の社会を映す鏡とも言えるでしょう。