キムチの文化史―朝鮮半島のキムチ・日本のキムチ―(佐々木道雄著、福村出版)
「김칫국 먹고 수염 쓴다(キムチの汁を飲んでひげをしごく)」「떡 줄 사람은 생각지도 않는데 김칫국부터 마신다(相手は餅をくれそうもないのに、まずキムチの汁を飲む)」。韓国のことわざにはしばしば「キムチ」が登場します。それだけキムチは韓国人の言語生活に影響するほど食文化として根付いているんですね。韓国社会におけるキムチの位置づけが理解できれば韓国語学習に役立つのは言うまでもありません。本書は、日本の漬物と韓国のキムチを比較しながら、その類似性と異質性に迫ったものです。キムチと言えば、唐辛子で真っ赤にしたものを想像しがちですが、元祖キムチの色は赤ではありませんでした。キムチが真っ赤になったのは、1570年代に日本から唐辛子が伝来して以来です。と言って、すべてのキムチが赤くて辛いものとは限りません。100種類以上あるキムチの中には、「백김치(白キムチ)」のような白くて全く辛味のないとても美味しいものもあります。キムチの好きな人は無論、日韓両国の文化・社会に興味のある皆さんに一読をお勧めします。