授業改善のためのヒント
「教育改善のための学生アンケート」において,個別授業科目の集計結果や共通教育科目や当該科目区分の全体集計を見て,問題点と思われる箇所があった場合,今後の授業ではそれを念頭に改善を図ってほしいと思います。問題点のケースに分けて,改善のヒントを挙げますので,参考にしてみてください。
①授業の理解度が低く,かつ学生が予習・復習も十分していない場合
本質的には学生が学習しないのが問題なのですが,教員側が学習をさせる工夫をしなければ,この問題は解決されません。以下は,学習させるための工夫例です。
- 中間試験・レポートや小テスト・宿題等を行って,授業の途中で学生に自分の理解度を確認させる。この場合,答案・レポート等は返却し,解答は全体で確認する。よい答案・回答などがあれば,ほめるよう心掛け,クラスに印刷配布する。
- 答案・レポート等がすぐに返却できない場合は,回答提出後直ちに模範解答を配布したり,次回にそこまでの採点などで気づいた特徴・誤解などについてコメントしたりする。
- 授業開始時に第2シラバス(詳細な授業計画・授業意図・成績評価方法・予習の指示などを明記)や予習・復習用の参考文献リストを配布する。
- 授業のたびにその目的・意図を明確にして,予習・復習の必要性を明言する。
- 毎回,授業の終わりに次の授業までに予習してくる範囲を指示する。
- レポート・試験などを行う前に,レポートや小論文の書き方などのミニ講義を行う。
- 間違いからいかに学ぶかを強調し,学生が間違いを隠したり恐れたりしないようにする。
②教員の説明の仕方・教材の使用方法・声などの技術面に問題が感じられる場合
マイク設備の充実などは今後の改善課題として,国際基幹教育院で取り組んでいきますが,教員の説明の仕方などは工夫の余地がありますので,例を挙げます。
- 毎回の講義ごとに,まず目的やその回の授業のスケジュール(時間配分)を明示する。
- 授業の途中で休憩を入れる。
- 大講義室では体全体を大きく使って説明する。
- 学生にできるだけ顔を向けるようにし,ノートばかりを見ることのないように気を付ける。
- 黒板に向かったまま話をしない。
- 黒板の字を大きく書く。(手のひら大がよいといわれる)
- 黒板に書いたものをすぐに消さない。また,ノートに書かせる場合には書いている間に話し出さず,書くための時間をとる。
- 黒板を二つか三つに分割してローテーション的に使う
- ハンドアウトがない場合は,板書はできるだけ整理して書く。またメモ的に黒板を利用する場合は,必ずハンドアウトを用意する。
- ディスカッションを行う場合には,教室を動き回る。ただし,指名したときにはその学生の側には寄らない。(こうすると学生は全体に聞こえるように話さなければならなくなる)
- 難しい用語を使う時には,その解説をプリント化する,もしくは事前に黒板に書いておく。
- 講義の構成に従い,話し方にメリハリをつける。
- 重要なポイントは,ただ重要だというのではなく,なぜ重要かをきちんと説明する。
③授業に対する熱意・学生との交流が思っているより学生に評価されていない場合
教員の熱意や学生との交流は授業の満足度に影響します。自分では力を入れて講義をし,学生の声にも耳を傾けているつもりなのに,思ったように評価されていないということはよくあります。以下はこれに関連する工夫例ですが,上の二つにもつながります。
- 学生の名前を覚えて,それを使う。
- 指名するときは名前を呼んで指名する。指をさして指名したときには学生の名前を聞いて覚えるようにする。
- 教室を退出するときはゆっくりと出て,質問しやすい雰囲気を作る。
- 演習形式の場合,授業開始時に学生を2人組等にしてお互いにインタビューをさせ,それをまとめさせてインタビュー相手のことを全体に紹介させる。
- 学生に発言をさせているときに,発言を促したり,ほほえんだり,うなずいたり,軽い補足をしたりして,学生の発言に教師が反応していることを明示するサインを送る。